安否確認システムを検討していると、必ず一度は「LINEでいいのでは」という話が出ます。実際、LINEを使う方式には専用アプリにない利点があります。一方で、はっきりした限界もあります。

当社はLINEを使う側の事業者ですが、限界のほうを隠して勧めても、導入後に困るのは御社です。両方書きます。

利点1:インストールとアカウント作成が要らない

専用アプリ方式でいちばん時間を取られるのは、実は災害時の運用ではなく、平時の登録です。全社員にアプリを入れてもらい、初期パスワードを配り、設定してもらう。入社・異動のたびに同じことを繰り返す。

すでに使っているLINEに乗せる場合、社員の作業は友だち追加だけです。この差は、社員数が多いほど、そして拠点が分かれているほど大きくなります。

利点2:通知が埋もれにくい

専用アプリの通知は、ふだん開かないアプリからの通知です。通知をオフにされていたり、機種変更のあとに再設定されないまま放置されていたりすることがあります。

LINEは日常的に開かれているので、通知が生きている確率が高い。安否確認は「届いてから何分で返ってくるか」がすべてなので、ここは実務上の差になります。

利点3:使い方を教えなくてよい

災害の直後に、社員がマニュアルを読み返すことはありません。ふだん使っている画面と同じ操作なら、説明が要りません。訓練の負担も軽くなります。

限界1:ブロックされたら届かない

これが最大の弱点です。LINE公式アカウントは、利用者側でブロックできます。ブロックされると、その社員にはメッセージが届きません。

会社が強制的に解除することはできませんし、ブロックした社員に個別に気づくには、確認する運用が要ります。専用アプリなら会社支給端末で管理できる、という場合と比べると、ここは明確に劣ります。

対策としては、定期的に配信を行って到達状況を見る、年に数回の訓練で未到達を洗い出す、といった運用側の手当てになります。仕組みだけでは埋まりません。

限界2:LINEを使っていない社員がいる

数は多くありませんが、ゼロではありません。業務用の携帯にLINEを入れない方針の会社もあります。この場合、その社員だけ別の手段(電話、メール)を用意することになり、二重の運用になります。

検討の初期に、「LINEを使っていない社員は何人いるか」を実数で把握しておくことをおすすめします。ここが1割を超えるなら、LINE方式の利点はかなり減ります。

限界3:LINE側で障害が起きたときに打つ手がない

自社で作ったアプリなら、障害の原因を自社で追えます。LINEに乗る場合は追えません。プラットフォームの障害時には、こちらからできることがない、というのが正直なところです。

もっとも、これは専用アプリでも通信キャリアやクラウド側の障害という形で起こり得ます。「どこかが止まったときの代替手段を決めておく」という点では、どちらの方式でも同じ備えが要ります。

判断の分かれ目

整理すると、次のようになります。

  • 社員の大半がすでにLINEを使っていて、登録の手間を減らしたい → LINE方式が向く
  • 拠点が分かれていて、全員に説明して回るのが難しい → LINE方式が向く
  • 会社支給端末を全員に配っていて、端末管理ができている → 専用アプリの利点が生きる
  • LINEを使っていない社員が1割を超える → LINE方式の利点は小さい
  • 安否確認だけでなく、ふだんから同じ経路で連絡したい → LINE方式が向く

最後の点について補足すると、災害時にしか使わない仕組みは、いざというとき動きません。回答率が上がらない会社の多くは、システムの性能ではなく「ふだん使っていない」ことが理由です。平時に何の用途で使うかを先に決めておくと、訓練の回答率も変わってきます。


MyShelter Connect は、LINEで完結する企業向けの安否確認の仕組みです。上に書いた限界を踏まえたうえで、御社に向くかどうかから一緒に見させていただきます。

従業員数と拠点数を伺えば、概算をお出しできます。