回覧板をやめたい、という相談は増えています。印刷代がかかる。次の家に回すのに気を遣う。誰が読んだか分からない。留守が続く家で止まる。

ただ、デジタル化に踏み切った自治会が、必ずしも楽になっているとは限りません。うまくいかない理由は、たいてい技術の話ではなく、最初の設計の話です。よくある3つを挙げます。

つまずき1:全員がスマホを持っている前提で設計してしまう

いちばん多いのがこれです。「スマホ普及率は高いから大丈夫だろう」と考えて始めると、実際には一定数、届かない世帯が残ります。

そして、この「届かない一定数」は自治会にとって、いちばん気にかけるべき人と重なりがちです。ひとり暮らしの高齢者、体調に不安のある方。デジタル化して連絡が速くなっても、その人たちに届いていなければ、防災の観点では改善していません。

現実的な着地は、紙をゼロにしないことです。デジタルで9割に届けて、残りの世帯には紙で届ける。役員の手間は「全戸に回す」から「数世帯に届ける」に減ります。ゼロか百かで考えないほうが、結果的に早く軌道に乗ります。

始める前に、班長さんに「うちの班で、スマホで受け取るのが難しそうな家は何軒ありますか」と聞いて回るだけでも、設計が変わります。

つまずき2:「新しいアプリを入れてください」で止まる

専用アプリを配る方式は、機能だけを見れば優れていることが多いです。問題は、住民の側に「インストールする」「アカウントを作る」「パスワードを決める」という3つの作業が発生することです。

この3つは、慣れている人には何でもありませんが、慣れていない人にとっては壁です。そして自治会には、その人たちに個別に教えて回れる担当者がいません。結果として、登録率が上がらないまま、紙の回覧も続けることになり、役員の仕事は二重になります。

判断の分かれ目は、「その人が今すでに使っているものに乗せられるか」です。すでにLINEを日常的に使っている方であれば、友だち追加という一手で済みます。新しく覚えることがない、という一点は、機能の差を超えて効くことがあります。

もちろん、LINEを使っていない世帯には別の手当てが要ります。つまずき1と同じ話です。

つまずき3:「誰が読んだか分かる」が、役員の仕事を増やす

デジタル化の売り文句としてよく出てくるのが、既読が分かる、という点です。これは実際に便利なのですが、運用を決めずに導入すると、思わぬ負担を生みます。

未読の世帯が可視化されると、「誰が確認の連絡をするのか」という新しい仕事が発生するからです。紙の回覧板には、そもそも未読という概念がありませんでした。見えるようになった瞬間に、対応する責任が生まれます。

導入前に決めておくとよいのは、次のあたりです。

  • 未読を追いかけるのは、どの連絡だけか(防災に関わるものだけ、など)
  • 追いかける役は誰か(班長か、防災担当か)
  • いつまで未読なら連絡するのか(3日、1週間)
  • 通常のお知らせは、未読でも追いかけない、と決めてよいか

「全部の未読を追いかける」という運用は、まず続きません。追いかける対象を絞ることが、続けるためのコツです。

先に決めておくと後がラクなこと

道具を選ぶ前に、次の4つを役員会で決めておくと、導入後の混乱がかなり減ります。

  • 紙を残す世帯を何軒想定するか
  • 誰が発信できるのか(会長だけか、班長も発信できるのか)
  • 未読を追いかける連絡の種類と、追いかける人
  • 来年、役員が代わったときに誰が引き継ぐのか

4つ目は忘れられがちですが、一番効きます。自治会のデジタル化が失敗する理由として多いのは、導入時に頑張った役員が任期を終えた翌年に、誰も操作方法を知らない、という状態です。特定の人しか触れない仕組みは、その人が抜けた時点で止まります。


MyShelterコミュニティは、回覧板・安否確認・集金の連絡をLINEで完結させる仕組みです。広域・地区・班といった単位の設定は、自治会側で追加・変更できます。

住民のみなさまのご利用は無償です。「何から決めればいいか分からない」という段階からご相談いただけます。